PROJECT STORY

先輩を超えろ!2号機開発プロジェクト
トラブルの先に、自らの成長

名古屋支店 装置営業部
電気電子システム工学科卒
2014年入社

予期できない、潜在課題

椿本興業のように、商社はお客様と協力メーカーの二者の間に立ってプロジェクトを管理します。それはただ二者間の伝言伝達の役割だけではなく、椿本興業の培ってきた技術力と高い付加価値が発揮されます。今回はその具体例を紹介します。

多くの工場にはものを作る「製造ライン」とともに、出来上がったものの品質をチェックする「検査ライン」が設置されています。椿本興業でも多くの納入実績があるこのライン。今回は自動車の部品工場で、出来上がった部品の表面に傷や欠陥がないか、4秒に1個のペースで検査する装置を納入する案件です。もともと私の先輩が過去に一台納入しており、それがお客様に好評でした。そして私が営業担当になってから、「同工場にもう一台設置して欲しい」という引き合いを頂いたところから始まります。

過去に実績のあるビジネスというのは、一見簡単そうに見えます。同じものをもう一度設置すればいいのではないか。しかし現実はそう甘くはありません。同じソフトや機械を使っても、1号機と同じようにはいかない。環境も、設備も、人も違う。そんな中で1号機と同じように、さらには1号機よりも進化したものを生み出すことがどれほど難しいことか、このときは知る由もありませんでした。

自分の目で見て、自分の頭で考える

1号機からの性能アップ部分の研究など課題は山積み。実際に稼働できるまでは、幾度となくお客様や協力メーカーと打合せを重ね、一つずつ周りに納得して頂き、協力してもらいます。

最初の課題はコスト。1号機から転用できる技術があるということは、前回より研究費用や実験費などのコストカットが見込めるはず。しかし、前回製作を担当して頂いたメーカーから理解が得られず、製作費が折り合わないことに。お客様や前任の先輩とも相談し、思い切って新しい製作メーカーを探すことでコストを抑える提案をすることにしました。
先輩や上司にも共有しながら、なんとか製作費の折り合いのつく製作メーカーA社を発見。残るはA社の製作技術を、お客様に信頼し了承して頂けるかどうか。A社に確実に1号機に近い装置を製作して頂けるよう、間を取り持つのが私の仕事です。 その際大切にしたのは、人づての話を聞くのではなく必ず自分でお客様の工場現場に赴き、課題を自分の目で確かめ、自分の頭で考え、対応策をA社に相談すること。お客様や現場の意見をそのままA社に流し伝えるだけでは、私の存在意義は失われます。製品の横流しだけではない、技術力を提案する椿本興業の営業である以上、自分の頭で考え、最善の対応策を提案することが使命。

そうすることでA社と納得できる提案内容を完成させることができ、お客様にも納得頂けたことで、ようやくプロジェクトのスタートを切ることがでました。

「信頼」のもと成り立つ関係を、守る仕事

A社での製作自体は特に問題なく進み、いよいよお客様の工場内で試験運転をする日。設置も完了が近づき、お客様の顔色も上々かと思いきや、どうも雲行きが怪しい方向へ。見ると、1号機の横で稼働する2号機が予期せぬ動き方をし、製品が上手く次の工程へ運ばれていきません。あれこれ調整を加えてみるものの、結局その日は予定の工程を終えることが出来ず、持ち帰ることとなりました。
問題の部分の製作を担当したのはA社。A社曰くは、指示された図面のとおり機械は動いているとのこと。しかし、もちろんお客様はそれでは納得しません。ここまで出来上がっている状態ではもはや誰がどこでミスをしたのか分からない。原因を探るにもどの段階から探ればいいのか。万が一、製品をバラして製作し直すなんてことになると、費用もかさみ当初のコストダウンなどもってのほかではないか。その時は悪い展開ばかりが脳裏に浮かび、今後どう進展させるべきか、不安で仕方がなかったを覚えています。

しかし、不安でも先陣を切ってトラブルの解決策を探るのが椿本興業の仕事。信頼の上で成り立っている、お客様と協力メーカーと椿本興業の二者の間に立つ私の立場としては、どちらの肩を持つでもなく中立の意見を述べることが大切になります。どこが問題なのか、なにが課題なのかを目の前のお客様と一緒に向き合い、考え続けることが私たちの仕事です。

今回のケースでは、1号機の納入後にお客様で改造された部分があったにも関わらず、お客様がA社に提出した図面が納入当初の1号機の図面だったことが原因と判明。2号機は改造前の動き方をしていたのです。A社の製作ミスを疑うだけでは、真相に近づけなかったですね。

プロジェクトをゼロから担当して見えたこと

その後は2号機の改造、再試験運転共に無事完了しこのプロジェクトは幕を閉じました。2号機の評価は上々。次回の3号機についてのお話も頂いているので、関係各社と良い関係が構築できて嬉しく思っています。
振り返えると、お客様の現場へ数多く足を運んだことが良い結果に結びついたと思います。現場に行って話を聞く、開発の人たちと一緒に議論し、情報を共有する。そういう顔の見えるお付き合いは必要です。少し余談ですが、お酒の入ったお付き合いも少々。でもそんな時こそ、フランクでなんでも話せる関係を築くビッグチャンスです。

打ち合わせや調整で出張が続き、体力的に辛い面もありましたが、楽しく成長できた案件でした。2号機を担当することで機械の開発に携わり、技術的な知識が増えたことは大きな成長。ただゼロから全てを自分で担当したことにより、仕事の力加減が分かったことも大きいです。常に全力投球では自分も先方もくたびれます。仕事の緩急の付け方や自分の限界を教えてくれた、私のキャリアステップになくてはならないプロジェクトでした。

私は理系出身ですが、椿本興業の営業は理系も文系も関係ないと思っています。強いて言えば、何かトラブルがあったときに理系の知識が少し活きるくらい。それよりも、根気がある人、自分で考えようとする力がある人、なぜ?のその先を問い詰めることができる人が椿本興業では活躍できる人材だと思います。一緒に様々な問題に向き合える方、椿本興業で待ってます!

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